2022/06/27
本州中部以南の暖海に広く分布する長卵系の巻き貝。地域によっては「ホウガイ(宝貝) 千葉県」「ネコガイ 静岡県」「ウシモーモー 沖縄県」とよばれることもある。
タカラガイの生態 (jd.m.wikipedia.org)
タカラガイは世界中の熱帯から亜熱帯の海域に分布(生息)し、特にインド洋や太平洋の潮間帯から水深500mにかけての深場に多く生息する。生体は殻の一部または大部分を外套膜におおわれているため殻の表面は光沢をもつ。
タカラガイの文明史(honz.jp)
〔お金として〕
13世紀頃 ダホメ王国の北にあったマリ帝国でも貨幣として使用されていた。
17~18世紀 イスラム商人によりモルジブ諸島から北アフリカ、サハラ砂漠を経由して運ばれた。
西アフリカの現在のペナン共和国では、タカラガイが貨幣(お金)として使われてきた。タカラガイがないと全く買い物ができなかった。
・仕事1日の賃金 タカラガイ120個
・にわとり一羽 タカラガイ200個
・大人一日の生活費 タカラガイ100個
1894年 ダホメ王国はフランス領となり、タカラガイの公的な貨幣としての使用は1901年に終了。
1965年 ダホメ王国の西隣にガーナ共和国で新たな貨幣制度がもうけられたとき、貨幣の単位は「セディ」と決められた。「セディ」とは貝殻の意味。
中国では、18世紀までタカラガイは貝貨として流通していた。ちょうどいい大きさのキイロダカラ、ハナビラダカラが珍重された。タカラガイはお金のようなものだった。
<なぜタカラガイをお金にしたのか?>
ダホメの王は「誰もがまねして造れない。誰もがひそかに金持ちになることはない。」と考えていた。
〔アクセサリーとして〕
タカラガイは色や形が美しいので、古代からアクセサリーの素材として使われていたと考えられている。映画「モアナと電話の海」でも小さい頃のモアナが首かざりとしてタカラガイをつけていた。
なぜタカラガイについて調べようを思ったか?
ぼくは貝殻が大好きで今までもたくさんの貝を集めたり海で拾ったりして家にはたくさんの貝があります。
その中でタカラガイが一番好きなので、タカラガイについて調べようと思いました。タカラガイは身近な海でも探せるし、夏休みに沖縄に旅行するので沖縄の海でタカラガイを探したいと思いました。
探した貝殻を標本にしてみようと思いました。
標本のつくり方
生きた貝を標本にするには肉の部分をどう取り出すかが課題。
貝の肉を取り出す方法
・一般的には肉を腐らせて取り出す方法
・冷凍して取り出す方法
<手 順>
採集後すぐに個別に小さなチャック袋などにいれる。
外の直射日光が当たらないようにする。
夏なら3~4日ほど、冬なら1週間程度ほどほう置する。
うじ虫が発生し、貝の肉を食べてもらう。
臭いがなくなってきたら水で勢いよく洗って残肉を洗い出す。
よく水分を切って、殻口を上にしてよく乾燥させれば完成。
タカラガイのつやはとても失われやすいものであり、一般的な巻貝のようにゆでたり、塩素漂白剤に日足りたり、さらに長時間水につけるとつやがなくなってしまう。
<実際にタカラガイ集めをしてみた>
7/29 浜比嘉島(沖縄) 備瀬崎 干潮時間
岩にかげや石の裏にタカラガイはいる。
【採取風景】
7/30 恩納村
7/31 帰宅(ジップロックに貝を入れてされあにふくろを何重にして も、ものすごく悪臭がした。生きていた貝が死んでしまったから、くさってしまったにおいだと思う。
8/1 家の屋上に水洗いしてから新聞紙の上に干す。
周りににおうぐらいくさくてたまらなかった。
うじ虫が貝にたかっていた。
【うじ虫&貝の肉がまだたくさんある】
8/5 うじ虫の数がどんどんふえていった。
8/9 まだ貝のくさったにおいがした。
8/10 うじ虫がいなくなった。(ハエになり飛んでいった。)
8/11 貝の中身はキレイに肉がなくなっていた。
【肉がなくなってピカピカになっている】
8/12 できあがったものからふくろに入れてまとめていく。
8/17 ケースに入れ標本完成
8/21 今回行っていない場所の石垣島や御前崎で採取したタカラガイも標本に追加した。
標本した貝の採集場所(よくタカラガイがいたところ) 標本に使用したタカラガイ
キイロダカラ
分 布: 日本の本州南部以南
サイズ: 1.7~2.8cm
古代より貨幣として使われ漢字の「貝」の字はこのキイロダカラの形がもとになっている。
カモンダカラ
分 布: 日本の本州中部以南
サイズ: 1.9~2.4cm
生息地: 水深20m程度
ハナマルユキ
分 布:日本の本州南部以南
サイズ:2.7~3.5cm
生息地:水深10m程度までのごく浅い海域
ナシジダカラ
分 布:日本の本州南部以南
サイズ:1.4~2.1cm
生息地:岩かげなど・水深100mを超える場所から採集されることもあり。生息深度のはばが広い。
コモンダカラ
分 布:日本の本州南部以南
サイズ:2.7~4.1cm
成貝では左右側面の中央にそれぞれ1個の大きな暗色斑がありこれが和名の由来
サバダカラ
分 布: 日本の本州南部以南
サイズ: 1.1~1.7cm
生息地: 岩かげから水深20m程度
ハナビラダカラ
分 布:日本の本州東北以南
サイズ: 1.9~4cm
非常によくみられる。場所によっては多産する。
オミナエシダカラ
分 布:日本の本州南部以南
サイズ:2.1~2.9cm
生息地:水深30m程度。
ふつう種
ツマグロヤナギシボリダカラ
分 布:ハワイ諸島 ポリネシア イースター島
サイズ:1.5~3cm
なぜか恩納村に打ち上げられていた。
クロハラダカラ
分 布:東シナ貝~西太平洋
サイズ:3.9~5.2cm
生息地:海底の転石や海綿の間
非常に希少
クチグロキヌタ
分 布: 日本の本州南部以南
サイズ: 3.4~4.5cm
御前崎でよくみた。地域によってはよく見られる。
メダカラ
分 布: 日本の本州東北以南
サイズ:1.4~1.9cm
まん中の黒いはん点が目玉を連想させることが和名の由来。
標本づくりをやってみての感想
とにかく想像以上のにおいだった。生きていた貝は採取後翌日ぐらいには死んでしまい暑さもありそのにおいはきょうれつでした。
家族から
「もうこういうことはやらないで」と言われてしまいました。今までは海から拾った貝はくさいのでハイターで漂白してキレイにしていました。
でも次亜塩素酸によりタカラガイのツヤ、もようが消えてしまうことを知り、くさくてもうじ虫に貝の肉を食べてもらったら本当ににおいが消えました。
タカラガイのツヤがピカピカで本当に宝石のようだと思いました。
タカラガイについて調べた感想
沖縄でたくさんの生きたタカラガイを採取できたことはとてもうれしかったです。タカラガイについて、お金や首かざりであったことは知っていたけど、細かくは知らなかったけど、タカラガイがニワトリと交換できたり、お給料として使われていると知り、すごいなと思いました。
お金の単位に「セディ」と貝の意味を残しているのも感動しました。
今後の課題
沖縄以外でもタカラガイは採取できます。ぼくの住む静岡県の海でもタカラガイがいます。集めているぼくにはうれしいことだけど、暖かい気候(熱帯地方など)のところに住んでいるタカラガイが静岡にいるということはそれだけ海水温が高くなっているかもしれないと思いました。
サンゴなんか、御前崎にあるはずがなくても珊サンゴの死がいがおちています。海の生態もこわしているのは地球温暖化が関連しているかもしれないと思いました。
ぼくの大好きなタカラガイや他の貝、魚など海がすきなだけでなく、海を守るための取り組みにも注目していきたいです。
参考資料
「タカラガイ」 ネイチャーウォッチング研究会 誠文堂 新光社
「世界の歴史24アフリカの民族と社会」 中央公論社
「西アフリカの王権と市場」山川出版社
2017年8月 高洲小学校6年 桝田結友