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No. 56 ワタナベボラ(渡辺法螺)

第56回目は、ソデボラ科のワタナベボラ(渡辺法螺)です!
 
ワタナベボラは、紀伊半島から四国沖、フィリピン近海の深場に生息するソデボラ科の希少種です!本種の和名は、神奈川県は江ノ島の貝類商・渡辺傳七氏に由来します。渡辺氏は貧しい漁師の家に生まれ、桶職人になり、やがて貝細工師として巨万の富を築いた伝説的な人物であり、氏を偲んだ「故渡辺傳七老人を憶う」という貝類学会誌への寄稿文がフリーで閲覧できるので、ぜひネット検索して読んでみてください。


本種の螺塔はシャープながらも撫で肩で優しい曲線を描き、体層から一気に膨らんでは急激に窄まり水管溝が針の如く伸びる様は、まさにガラス細工そのもの。淡い橙色を帯び鈍く輝く殻表は、目を凝らせば非常に密で繊細な格子状の凹凸で覆われ、じっくりと見入らざるを得ない魅惑のデザインに心を奪われます。そして殻口外唇には6本の牙状突起が並び、単調なシルエットにアクセントを与えます。この棘の背面側には褐斑と白斑が交互に並び、先端に近づくにつれ濃くなる濃褐色で縁取られます。殻口側から眺め、背面側から眺め、幾度となく返してみたり、回してみたり。どこから見てもため息の漏れる本種は、類稀なる美しさを誇る日本の至宝といっても過言ではないでしょう。御多分に洩れず、やはり本種も生息環境の特定や採集技術の進歩と共に希少性を失った貝の一つです。でもそれは、安価に出回る海外産個体の話。国産ワタナベボラは未だ希少でありその輝きを失わず、貝愛好家が夢みる高嶺の花なのです。

ちなみに本種、私の標本含め海外産のものは殻が薄く、国産の個体は重厚になるんだとか。実はこれ、有名どころで言うとホラガイにも同じことが当てはまるんです。なぜなんだろう・・・。自由研究のテーマにしては重すぎるかな、そんなことが脳裏をよぎる、20代最後の夏の今日この頃です。

2024.7.29 安田 風眞
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