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No. 58 オオナルトボラ(大鳴門法螺)


第58回目は、オキニシ科のオオナルトボラ(大鳴門法螺)です!
 
オオナルトボラは、房総半島・山口県見島以南、熱帯インド-西太平洋域の潮間帯下部・岩礁域に分布する大型の巻貝です。


本種の殻は手に取るとずっしりと重く、肩には丸くも尖った結節が並び、大きな個体では170mmに迫るその大きさと相まって物々しい風格を帯びます。板状に広がる外唇により殻口は面となりテーブルに張り付き、ここに食い込むように重なる縦張肋、後方を突く螺塔のバランスが実に美しく、大鎧を着込んだ歴戦の猛者のような出立ちに高揚を覚えずにはいられません。こうして一通り背中を眺めた後に殻を返せば、一際大きな殻口に目を引かれることでしょう。トウカムリを彷彿とさせる、とまでは言い過ぎかもしれませんが、大きく発達した内唇滑層と、これまた大きく波打ちながら張り出した外唇を以て円を描く様は、見事としか言いようがない圧倒的な存在感を放ちます。この外唇と内唇は長く半管状に発達した後溝と前溝(水管溝)によって隔てられ、これにより与えられる緩急が飽きを忘れさせるデザインを生み出します。また殻口は奥へ進むほどに濃さを増す橙色で、荒々しい外観とは反して強い輝きを帯び、こんなギャップにも心を惹かれるのです。


本種はイセエビ刺し網漁の外道として有名な貝です。少年の日に「和歌山や四国の港に行くと拾えるんだよ」と聞いた言葉が頭から離れず・・・。やがて大学生となり初めて四国を訪れた際に、漁港に本種の大きな殻がゴロゴロと転がる、噂と違わぬ光景を目の当たりにし胸が震えた懐かしい記憶が蘇ります。海の香りや空模様、吹き抜けた風や当時の人付き合いまで。本種に限らず、さまざまな記憶が詰まった標本たちは、まさに思い出そのものです。


今回は珍しく、未クリーニング状態の標本を紹介してみました。造形美こそ変わらないものの、ひょっとすると魅力が伝わりにくかったでしょうか?クリーニング後に再登場するかもしれませんので、乞うご期待!


2024.9.27 安田 風眞

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